モトーラ世理奈、キネマ旬報新人賞受賞「いろんな世界に自分らしく飛んでいきたい」
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モデルで女優のモトーラ世理奈が4日、都内で行われた「第94回キネマ旬報ベスト・テン発表&表彰式」に出席。新人女優賞を受賞し、「これからも素晴らしい方たちと出会って、いろんな世界に自分らしく飛んでいきたい」と目を輝かせた。
【写真】笑顔でトロフィーを掲げるモトーラ世理奈
「キネマ旬報ベスト・テン」は、1924年(大正13年)にスタートした歴史ある映画賞。その年を代表する「日本映画」「外国映画」「文化映画」のベスト・テンを挙げるほか、「日本映画主演男優・女優賞」「日本映画助演男優・女優賞」「新人男優・女優賞」などその年の称賛すべき作品や映画人を選出し表彰する。
『風の電話』『タイトル、拒絶』で新人女優賞を受賞したモトーラは、トロフィーを手にすると「私が今ここにいるのは、諏訪(敦彦)監督、山田(佳奈)監督、たくさんの方たちのおかげです。本当に感謝しています。これからも素晴らしい方たちと出会って、いろんな世界に自分らしく飛んでいきたいと思います」とコメント。
『風の電話』は、2011年に岩手県大槌町在住のガーデンデザイナー・佐々木格氏が、死別した従兄弟ともう一度話したいという思いから自宅の庭に設置した「風の電話」をモチーフにした初の映像作品。東日本大震災で家族を失った一人の少女が、広島から故郷の岩手に帰り、「風の電話」にたどり着くまでの道程を通し、傷ついた心の救済や、人々が忘れかけている大切なものをテーマに描かれている。
本作で共演した西島秀俊との現場でやり取りを覚えていないと過去に発言していたことについて聞かれると「あそこにいたのは私じゃなくて(モトーラが演じた)ハル自身だったので、今私が思い出そうと思ってもあのときの感覚とは違う自分だなと思えて」と、当時は役に入り込んでいたことを告白した。
また、『MOTHER マザー』で新人男優賞に輝いた奥平大兼は「僕のデビュー作となるこの作品が、多くの方に観てもらえてこのように評価をしてくださるというのが、自分の中ですごくうれしい。本当にありがとうございます」と感激。撮影現場を「めちゃめちゃ楽しかった」と振り返り、「阿部サダヲさんが初めて知った俳優さんなんです。阿部さんとか長澤まさみさんとか、そういうプロの方に会えるっていうのがすごいうれしくて、現場で演技の楽しさもだんだん知れて、毎日『早く明日来ないかな』という感じでした」と懐かしんでいた。
さらに、『朝が来る』で助演女優賞となった蒔田彩珠は「まさかこんな多くの人に観ていただいて、評価していただけるとは思っていなかったので、今とても幸せです。これから先はもっとたくさんの作品に携わって、人としても俳優としても成長していけたらいいなと思っています」と歓喜。同作の役作りに関して聞かれると「撮影に入る一ヶ月くらい前から、実際に奈良の中学校に通ったり、家族役の方と一緒に暮らした」と打ち明けた。続けて「(監督の)河瀨さんの母校に実際に行って通ってました。実際に中学生として友達と過ごす時間とか家族との関係性とか、役を積む期間があったからこそ、(蒔田演じる)ひかりに起きた出来事の重みも変わってきたと思います」としみじみと語っていた。
「2020年 第94回キネマ旬報ベスト・テン」各受賞者
■作品
日本映画ベスト・テン第1位『スパイの妻<劇場版>』
外国映画ベスト・テン第1位『パラサイト 半地下の家族』
文化映画ベスト・テン第1位『なぜ君は総理大臣になれないのか』
読者選出日本映画ベスト・テン第1位『天外者』
読者選出外国映画ベスト・テン第1位『パラサイト 半地下の家族』
■個人
日本映画監督賞 大林宣彦『海辺の映画館ーキネマの玉手箱』
日本映画脚本賞 濱口竜介、野原位、黒沢清『スパイの妻<劇場版>』
外国映画監督賞 ポン・ジュノ『パラサイト 半地下の家族』
主演女優賞 水川あさみ『喜劇 愛妻物語』『滑走路』
主演男優賞 森山未來『アンダードッグ』
助演女優賞 蒔田彩珠『朝が来る』
助演男優賞 宇野祥平『罪の声』『本気のしるし<劇場版>』『恋するけだもの』『37セカンズ』『星の子』
新人女優賞 モトーラ世理奈『風の電話』『タイトル、拒絶』
新人男優賞 奥平大兼『MOTHER マザー』
読者選出日本映画監督賞 田中光敏『天外者』
読者選出外国映画監督賞 ポン・ジュノ『パラサイト 半地下の家族』
読者賞 川本三郎 連載『映画を見ればわかること』
特別賞 野上照代