<アカデミー賞>90周年の授賞式、約4時間の長丁場で視聴率が落ちる?
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ちょっと長すぎるが、90周年には相応しい? ハプニングもない代わりにサプライズもなかった今年のアカデミー賞授賞式は、そんな結果に終わった。
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ほぼ読めたと言われていた演技や監督部門に比べ、予測が難しかった作品部門は、ギレルモ・デル・トロの『シェイプ・オブ・ウォーター』が受賞。ノミネート数も13部門と最多で、過去のアワードの受賞数も他を上回り、何より作品部門の予測上重要なプロデューサー組合賞(PGA)も獲得していたのだから妥当なのだが、授賞式直前には『スリー・ビルボード』が再び勢いを見せていたり、『ゲット・アウト』が追い打ちをかけていたりして、どんでん返しも期待されていたのである。
しかし、恋愛、ファンタジー、ホラー、社会性という違ったジャンルを見事に盛り込み、しかも映画への愛やオマージュも含めた今作が受賞するのは、思えば90周年という年にはぴったりだったと言えるだろう。今年の授賞式は、冒頭から、モノクロを使ったレトロな雰囲気の映像で始まり、プレゼンターにも過去の大物が含まれるなど、これまでの映画の歴史を振り返るというテーマが貫かれていた。もちろん、投票者は「90周年だし」と意識して入れたわけではないのだが、偶然にも、この結果は、授賞式を素敵な形でまとめることになったと言える。
監督部門もデル・トロが受賞。ここのところ、作品賞と監督賞は分かれることが多かったが、彼は見事に両方とも制覇した形だ。演技部門も、これまでの賞を総なめしてきたゲイリー・オールドマン(『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』)、フランシス・マクドーマンド(『スリー・ビルボード』)、サム・ロックウェル(『スリー・ビルボード』)、アリソン・ジャネイ(『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』)がそのまま獲得した。大ベテランなのに初受賞となるオールドマンやジャネイの受賞には、会場から興奮と敬意のこもった大拍手が起きている。
『ウィンストン・チャーチル~』では、オールドマンの大変身メイクを手がけた辻一弘氏も受賞。オールドマンと辻氏は、受賞スピーチでお互いに感謝の言葉を送りあっている。
そしてその授賞式は、4時間近くに及んだ。長くなりすぎると、3時間時差のある東海岸で、視聴率が落ちる。そのプレッシャーは毎年あるのだが、来年への反省点として、ここはあらためて指摘されそうだ。
第90回アカデミー賞の受賞結果は以下の通り(★が受賞)
■作品賞
★『シェイプ・オブ・ウォーター』
『君の名前で僕を呼んで』
『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』
『ダンケルク』
『ゲット・アウト』
『レディ・バード』
『ファントム・スレッド』
『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』
『スリー・ビルボード』
■主演男優賞
★ゲイリー・オールドマン『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』
ティモシー・シャラメ『君の名前で僕を呼んで』
ダニエル・デイ=ルイス『ファントム・スレッド』
ダニエル・カルーヤ『ゲット・アウト』
デンゼル・ワシントン『Roman J. Israel, Esq. (原題)』
■主演女優賞
★フランシス・マクドーマンド『スリー・ビルボード』
サリー・ホーキンス『シェイプ・オブ・ウォーター』
マーゴット・ロビー『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』
シアーシャ・ローナン『レディ・バード』
メリル・ストリープ『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』
■助演男優賞
★サム・ロックウェル『スリー・ビルボード』
ウィレム・デフォー『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』
ウディ・ハレルソン『スリー・ビルボード』
リチャード・ジェンキンス『シェイプ・オブ・ウォーター』
クリストファー・プラマー『ゲティ家の身代金』
■助演女優賞
★アリソン・ジャネイ『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』
メアリー・J・ブライジ『マッドバウンド 哀しき友情』
レスリー・マンヴィル『ファントム・スレッド』
ローリー・メトカーフ『レディ・バード』
オクタヴィア・スペンサー『シェイプ・オブ・ウォーター』
■監督賞
★ギレルモ・デル・トロ『シェイプ・オブ・ウォーター』
クリストファー・ノーラン『ダンケルク』
ジョーダン・ピール『ゲット・アウト』
グレタ・ガーウィグ『レディ・バード』
ポール・トーマス・アンダーソン『ファントム・スレッド』
■長編アニメ映画賞
★『リメンバー・ミー』
『ボス・ベイビー』
『The Breadwinner(原題)』
『Ferdinand(原題)』
『ゴッホ 最期の手紙』
■短編アニメーション賞
★『Dear Basketball(原題)』
『Garden Party(原題)』
『LOU』
『Negative Space(原題)』
『Revolting Rhymes(原題)』
■脚本賞
★ジョーダン・ピール『ゲット・アウト』
エミリー・V・ゴードン、クメイル・ナンジアニ『ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ』
グレタ・ガーウィグ『レディ・バード』
ギレルモ・デル・トロ、ヴァネッサ・テイラー『シェイプ・オブ・ウォーター』
マーティン・マクドナー『スリー・ビルボード』
■脚色賞
★ジェームズ・アイヴォリー『君の名前で僕を呼んで』
スコット・ノイスタッター、マイケル・H・ウェバー『The Disaster Artist(原題)』
スコット・フランク、ジェームズ・マンゴールド、マイケル・グリーン『LOGAN/ローガン』
アーロン・ソーキン『モリーズ・ゲーム』
ヴァージル・ウィリアムズ、ディー・リース『マッドバウンド 哀しき友情』
■撮影賞
★ロジャー・ディーキンス『ブレードランナー 2049』
ブリュノ・デルボネル『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』
ホイテ・バン・ホイテマ『ダンケルク』
レイチェル・モリソン『マッドバウンド 哀しき友情』
ダン・ローストセン『シェイプ・オブ・ウォーター』
■美術賞
★『シェイプ・オブ・ウォーター』
『美女と野獣』
『ブレードランナー 2049』
『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』
『ダンケルク』
■音響編集賞
★『ダンケルク』
『ベイビー・ドライバー』
『ブレードランナー 2049』
『シェイプ・オブ・ウォーター』
『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』
■録音賞
★『ダンケルク』
『ベイビー・ドライバー』
『ブレードランナー 2049』
『シェイプ・オブ・ウォーター』
『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』
■編集賞
★『ダンケルク』
『ベイビー・ドライバー』
『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』
『シェイプ・オブ・ウォーター』
『スリー・ビルボード』
■視覚効果賞
★『ブレードランナー 2049』
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』
『キングコング:髑髏島の巨神』
『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』
『猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)』
■作曲賞
★アレクサンドル・デスプラ『シェイプ・オブ・ウォーター』
ハンス・ジマー『ダンケルク』
ジョニー・グリーンウッド『ファントム・スレッド』
ジョン・ウィリアムズ『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』
カーター・バーウェル『スリー・ビルボード』
■主題歌賞
★“Remember Me”『リメンバー・ミー』
“Mighty River”『マッドバウンド 哀しき友情』
“Mystery of Love”『君の名前で僕を呼んで』
“Stand Up for Something”『Marshall(原題)』
“This Is Me”『グレイテスト・ショーマン』
■衣装デザイン賞
★マーク・ブリッジス『ファントム・スレッド』
ジャクリーン・デュラン『美女と野獣』
ジャクリーン・デュラン『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』
ルイス・セケイラ『シェイプ・オブ・ウォーター』
コンソラータ・ボイル『Victoria & Abdul(原題)』
■メイクアップ&ヘアスタイリング賞
★『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』
『Victoria & Abdul(原題)』
『ワンダー 君は太陽』
■外国語映画賞
★『ナチュラルウーマン』(チリ)
『The Insult(原題)』(レバノン)
『ラブレス』(ロシア)
『心と体と』(ハンガリー)
『ザ・スクエア 思いやりの聖域』(スウェーデン)
■長編ドキュメンタリー賞
★『イカロス』
『Abacus:Small Enough to Jail(原題)』
『FACES PLACES(英題)』
『アレッポ 最後の男』
『ストロング・アイランド』
■短編ドキュメンタリー賞
★『Heaven Is a Traffic Jam on the 405(原題)』
『Edith+Eddie(原題)』
『ヘロイン×ヒロイン』
『Knife Skills(原題)』
『Traffic Stop(原題)』