『羊たちの沈黙』ジョナサテン・デミ監督が死去 ジョディ・フォスターらが追悼
1990年の映画『羊たちの沈黙』でアカデミー賞監督賞を受賞したジョナサン・デミ監督が現地時間26日、食道ガンと心臓病の合併症によりニューヨークで死去した。享年73歳。デミ監督は2010年に食道ガンと診断されたが治療の甲斐があり一時期かん解に至ったものの、2015年にガンが再発したという。Mail OnlineやDeadlineなどの海外メディアが伝えた。
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B級映画の帝王ロジャー・コーマン監督のもとで映画製作に携わっていたデミ監督は、1974年の『女刑務所・白昼の暴動』で劇場映画監督デビュー。1990年にトマス・ハリスのベストセラー『羊たちの沈黙』の映画化でメガホンを取り、1991年のアカデミー賞で作品賞、主演男優賞、主演女優賞、監督賞、脚色賞の5部門を制覇した。その次の監督作でHIV感染者の差別に対する闘いを描く『フィラデルフィア』では、トム・ハンクスに主演男優賞、ブルース・スプリングスティーに歌曲賞をもたらした。代表作は他に、2003年の『アダプテーション』(製作)や2008年の『レイチェルの結婚』(監督)、2015年の『幸せをつかむ歌』(監督)など。
長い闘病生活の末に死去したデミ監督の訃報にハリウッドは悲しみ、数々のスターや映画人、関係者が哀悼の意を表している。『羊たちの沈黙』でオスカーを手にしたクラリス役のジョディ・フォスターは「友人、師、そしてハリケーンでしか制することができないような特異でダイナミックな人を失ったことに心が引き裂かれる思いです」とデミ監督を追悼。「JDは心から愛され、ワイルドで愛に溢れている人。羊達の監督。彼を愛してやみません」と監督への敬愛を改めて言葉にした。レクター博士を演じたアンソニー・ホプキンスは訃報を聞き「酷いショックを受け心が沈みました」と声明を通じて語り、「彼は最も優秀な監督の一人で、この上なく善人であると共に素晴らしい精神の持ち主でした」とデミ監督を称えると共に、遺族にねぎらいの言葉を向けた。
ほか、トムやメリル・ストリープ、スーザン・サランドンといった俳優陣のみならず、マーティン・スコセッシ、ロン・ハワードといった監督陣からも絶え間ない称賛と哀悼の言葉がデミ監督に向けられている。