WOWOWにて7月16・17両日放送される特別番組『「ドライブ・マイ・カー」と濱口竜介監督の世界』に、俳優の西島秀俊と女優の三浦透子が出演、ナレーションを霧島れいかが務めることが発表された。

　日本映画史上初めて、第74回カンヌ国際映画祭で脚本賞をはじめ4冠に輝き、第94回アカデミー賞では国際長編映画賞を受賞した『ドライブ・マイ・カー』が、7月23日13時よりWOWOWで独占初放送される。特別番組『「ドライブ・マイ・カー」と濱口竜介監督の世界』では、同作をより楽しんでもらうべく、濱口監督の演出術に迫る。

　この特別番組に、プロデューサーの山本晃久と共同脚本の大江崇允に加え、西島秀俊と三浦透子の出演が決定。さらにナレーションは家福音役の霧島れいかが務める。俳優、プロデューサー、脚本家とさまざまな視点から濱口監督を語った番組となっている。

　収録は、劇中の稽古場を思わせるセットでスタートした。村上春樹の短編小説『ドライブ・マイ・カー』を映画化するに至ったエピソードを話す中で、原作との関わり方を山本は「濱口監督が最初におっしゃっていたのが、例えていえば、村上春樹さんが掘った井戸とは別の井戸を自分は掘って、最終的に村上さんの見つけた水脈にたどり着きたいみたいなこと」と語った。

　これに対し西島は「原作が一つの問いのようになっていて、濱口監督がその問いに答える、原作のもう一つ先を考えて作られていた脚本だった」と振り返った。三浦は原作と脚本は異なるが読んだ後に残る根底に通じるものがあったと感想を明かしている。

　パズルのように組み合わされた緻密な脚本構成に話が及ぶと、濱口監督の大江へのリクエストや、そこから生まれたシーンなどが語られた。濱口監督の演出方法について、自身が演じた家福と比較し西島は「家福が映画の中でやっているものとは全然違い、もっと繊細。現場での濱口さんは本当に恐ろしく繊細に演出を進めていた」と話し、濱口監督とのやりとりや「俳優がそのときに感じることを信じてくれている」と現場の様子を披露。

　三浦は、劇中にも登場する名匠ジャン・ルノワールが使っていた「イタリア式本読み」について、「普段からフラットに入るように心がけていたので、それを準備として西島さんや濱口監督と一緒にできるのはとてもありがたかった」と語った。

　番組内ではほかにも印象的だった赤いサーブやカセットテープについてのトーク、濱口監督の俳優に対する思いなど、ここでしか聞けない貴重なエピソードがたっぷりと語られている。

　西島は「今回収録にあたり、脚本を改めて見返したのですが、すさまじい量のテキストと内容でした。ことばの持つ力が本当に強い脚本で、俳優たちがどれだけそのことばを身体化して発するかということを大切にして作っている映画です。ぜひそこを観ていただきたいなと思います」とコメント。

　三浦は「身体化され俳優たちから発せられたセリフは、その人の身体から鳴っている音のように、私には聞こえました。特に赤いサーブに乗りながら、西島さんや岡田さんのセリフを聞いている時間がすごく心地よかったです。ぜひ、この映画の“音”を楽しんでほしいと思います」と話している。

　WOWOWオリジナル特別番組『「ドライブ・マイ・カー」と濱口竜介監督の世界』は、WOWOWプライムにて、「脚本編」が7月16日15時15分ほか、「演出編」が7月17日21時30分ほか放送。