津田寛治「トリップ感をすごく楽しんでいただきたい」 香川照之がエキストラ役者を演じる『宮松と山下』
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――主演の香川照之さんとの共演はいかがでしたか? 津田さん、香川さん、尾美としのりさん、みなさん同じ1965年生まれですね。
1965年生まれ、僕らの世代はある意味独特なのかもしれないですね。空白の30年っていうのをどっぷり経験しているわけでもないし、子供がたくさん生まれる時代でもあったり、高度経済成長期も経験していて、いろんなもの経験しすぎて、すごくべたっとした透明な感じになっている世代だと思うんですけれども、だからこそ、みんな肩の力抜いて個性が出ているのかもしれないです。
特に香川さんは昔、黒沢清監督の撮ったVシネとかにもよく出られてて、「この役者さん良い現場たくさん踏んでいるな」と思っていて。特に衝撃を受けたのは、中国映画の『鬼が来た!』(2000)だったかな。
香川さんに「『鬼が来た!』の現場どうでした?」って色々聞いたら、「やっぱ中国の人たちはバイタリティがすごいんだよ」と言っていて、中国の方々の撮影現場のエピソードをいくつかお聞きしたんですけど、どれも大変な経験で。なのにものすごくポジティブに受け止めるんですよね。「あ、そうか、そういうところからもいろんなこと学んでいる方なんだな」と思いました。『宮松と山下』の撮影現場でも監督の演出に文句ひとつ言わずに、全部ポジティブに捉えて、それを一生懸命やられている。その姿は、ほんとに背中を見ていて、勉強なりましたよね。
――香川さんと何か撮影現場で演技や演出についてお話したことはありましたか?
メイクルームで僕が香川さんに「台本ではこうなってるんだけれども、実は僕こういう風にやりたいんですよね」って、香川さんにちょっと言ってみたら、「わかるわかる。わかるんだけど、まずは台本通りにやってみよう。多分この3人(監督)ね、今チャレンジしてるんだよね。俺もやりたいこと色々あるんだけど、ただこの3人のチャンジをまず優先したいからさ、とりあえずいっぺんこの通りやってみようよ!」って仰ったんですよね。それがやっぱり本当に懐も深いし、人間的にも素晴らしい方なんだなっていう気はしましたね。
――これから本作をご覧になる皆様へメッセージをお願いします。
他の映画とは明らかに毛色の違う映画なので、映画が始まってから終わるまで、今まで経験したことのない時間を体験できると思います。
そのトリップ感をすごく楽しんでいただきたいですし、あと、香川さんはじめ尾美さん、中越典子さんたちのお芝居が本当に素晴らしいので、その空気感と、お芝居のコラボレーションを存分に楽しんでいただきたいと思います。
映画『宮松と山下』は、11月18日より全国公開。