原田美枝子、感極まり涙 『百花』川村元気監督とサン・セバスティアン国際映画祭に登場
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女優の原田美枝子と俳優の菅田将暉がダブル主演し、川村元気が監督・脚本を務める映画『百花』が、スペイン最大の映画祭であるサン・セバスティアン国際映画祭のオフィシャル・コンペティション部門へ正式出品され、現地時間9月20日に公式上映を実施。原田と川村監督が現地へ駆けつけた。
【写真】観客からの拍手と歓声に涙がこぼれた原田美枝子
本作は、川村の体験から生まれ、27万部を超えるベストセラーとなった同名小説を、原作者である川村自身の監督・脚本で映画化。記憶を失っていく母と向き合うことで母との思い出をよみがえらせていく息子を菅田が、すべてを忘れていく中さまざまな時代の記憶を交錯させていく母・葛西百合子を原田が演じ、ダブル主演の2人が親子の愛を紡ぎ出す。
サン・セバスティアン国際映画祭は1953年から続いている映画祭で、今回は記念すべき70回目として9月16~24日に開催。ヨーロッパにおいて、カンヌ国際映画祭やベルリン国際映画祭、ヴェネチア国際映画祭に次いで重要な映画祭として位置付けられている。
現地時間9月20日午前、公式上映に先駆け、映画祭会場であるKursaal Congress Centre(クルサールコングレスセンター)の屋外で実施されたフォトコール(プレス向け撮影会)に原田と川村監督が登場。
公式記者会見で、冒頭に原田は「こんにちは! ドノスティア(バスク語でサン・セバスティアンの意)! この映画が世界の方々にどのように受け取っていただけるのか楽しみです。ありがとうございます」とスペイン語であいさつ。会場は大きな拍手と歓声で包まれた。
質疑応答では非常に多くの海外メディアから質問が途切れることなく続き、終了予定時間を大幅にオーバーするほど。質問の中には、原田が出演した黒澤明監督作品に言及するものも複数あった。川村監督も「原田美枝子という女優は、黒澤明監督の作品に出演していたり、今の日本の映画界にとって伝説の人。以前から自分が映画を撮る時は日本映画を背負っているような女優に出ていただきたいという想いを持っていました」と回答。原田も会見で「黒澤監督との仕事は緊張しましたが、時間がたっても昨日のことのように全部を思い出せます。川村監督との撮影も1シーン1カットで非常にエネルギーを使いましたが、監督の目指しているものが分かり、信頼して身を預けることができました」と話した。
そして夜になり、会場が華やかにライトアップされる中、公式上映前の21時40分にレッドカーペットアライバルが実施され、原田と川村監督が登場。原田は、昼間のドレスとは異なる雰囲気の、『百花』のイメージカラーでもある黄色の着物に身を包んでいた。そして22時からクルサールで行われた上映は、映画祭最大級のキャパシティー1800席を多くの観客が埋める大盛況の中で実施された。
本編終了前のエンドロールに入ると、次々と観客が立ち上がり、会場は拍手喝采の状態に。エンドロールが終わるまで、ずっと拍手が鳴りやまず、感極まった原田の目から涙がこぼれ落ちた。映画を鑑賞した観客はそのまま劇場ロビーに残り、退場する原田と川村監督を迎えた。ここでも惜しみない拍手と歓声が送られ、涙を流しながら声をかける観客の姿も。その光景に、感動を隠しきれない様子の原田と川村監督は、最後に観客に深々とお辞儀をし、目に涙を浮かべながら映画祭を後にした。
上映後、原田は「まさか泣くと思わなかったです(笑)。皆さんがちゃんと受け止めてくれた気がして、本当に嬉しかったです。映画をきちんと観てくれる人たちがいるっていうことが分かり、楽しく過ごせた映画祭でした」とコメント。
川村監督は「遅い時間からの上映にも拘らず、これだけの満員上映で、こんなに大勢の方に見送りまでしていただいて、感動しました。観客の表情から、映画が伝わったことが凄く分かりました。サン・セバスティアンという町には映画を愛している方々がたくさんいて、映画人であるということだけで温かく迎えてくれ、すごく嬉しかったです」と語った。
映画『百花』は全国公開中。