池田純矢映画レビュー

◆ 俳優・池田純矢のレビューコラム、ついに始まる

本当にわたしで良いのでしょうか…?と、お話を頂いた時には混乱と高揚が胸中に渦巻いておりましたが、選んで頂いたからには全力で魅力をお伝え出来るよう死力を尽くす限りでございます。

そもそも何故わたしが?とお思いの方もいらっしゃると思います。いや、それ以前に”お前は誰だ?”と感じている方のほうが多いかもしれませんね。

普段、俳優業をメインに活動しておりますが、声優業、脚本家業、演出家業、はたまた歌やら、デザインやら、作品プロデュースetc…兎にも角にも雑食にエンタメ業界で活動をしておりまして、ともすればその雑多感が、新作・旧作・メジャー作品からツウ向けのマニアックな作品まで手広く扱うクランクインビデオとの親和性を感じて頂いた…のかも知れません。

どうも、池田純矢と申します。光栄にも今月よりレビューコラムを連載させて頂く事になりまして、本日はその初回となります。

◆ 第1回に選んだ作品は…?

連載第1回のレビューとしてどの作品が相応しいのか…著名なアカデミー作品?隠れた名作?と悩んでいるうちに気がつけばあれよあれよと十数本の映画を観てしまいました。
さて、いつまでもわたしの話をしていても仕方が無いので早速レビューに移りたいと思います。
より多くの、そして手軽である故に普段触れないような作品にも出会えるマーベラスなシステムと言えましょう。
そんな沢山の素晴らしい作品との出会いから今回ご紹介させて頂くのは、赤堀雅秋監督がメガホンをとり、2016年に公開された映画「葛城事件」 配信サービスはクリックひとつで直ぐさま上映が開始される、となれば私のようにチェーンムービーとなる人間も多いはず。

 第1回レビュー作品 
「葛城事件」


ありふれた家族が、徐々に崩壊へと向かう様を描いた問題作。抑圧的で厳格な父・清(三浦友和)精神を病んだ妻・伸子(南果歩)リストラされ孤立する長男・保(新井浩文)無差別殺傷事件を起こし死刑囚となった次男・稔(若葉竜也)そして死刑制度反対の立場から次男と獄中結婚する女(田中麗奈)どこにでもある家庭が、ささいなきっかけの積み重ねにより様々な波乱を含み肥大化してゆく。

◆ 凄まじいワンカットの威力

実際にあった事件をベースに進むストーリーは圧倒的なリアリティで、ワンカットの威力が凄まじい。
特に死刑囚となった次男を演じた若葉竜也さんの演技力には、ある種の感動すら覚えるほどで、目を逸らしたくなるシーンになればなるほど、逆に釘付けにされて行く求心力に脱帽だ。 監督曰く、ファンタジーでは無く我々の生活の地続きにある物語なのだと。

◆ 父が帰ってきたことを告げる演出効果

このシーンで、父が電気をつける仕草をした時に初めて、表情すら分からない程に辺りが暗くなっている事に気が付くのだ。先ほどまであれほど鮮やかな陽光に包まれていた空間が、ワンカットの長回しの中で仄暗い混沌に変化していくのである。 また、スタッフ陣の演出効果も秀逸で、最も驚かされたのは、父から逃げるように家を出た妻・伸子と稔、そこへ保もやってきて、崩壊しかけていた家族が束の間の幸せを感じて微笑み合うシーン。真昼の鮮やかな陽光に包まれた暖かい空気感の中、突然父がやってくる。すると次第に鬱屈とした雰囲気が流れ始め、混沌としたドロリと薄暗い世界に変わる。


◆ 相反する要素の融合

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Class="box"> Style="clear: Both;">長々とお目通し頂き恐縮です。拙い文章ではありますが今後ともお付き合い頂ければ幸いです。それでは、また次回まで

  • 葛城事件

    『葛城事件』

    制作年:2016年/本編時間:120分
    HD(高画質):500円(税別)/48時間
    SD(標準画質):400円(税別)/48時間

池田純矢プロフィール

2017年に第2弾となる『エン*ゲキ#02 スター☆ピープルズ!!』を24歳にして紀伊國屋ホールで上演。 本格的な演出家デビューを飾る。 2018年4月に紀伊國屋ホール、5月に大阪abcホールにて第3弾『エン*ゲキ#03 ザ・池田屋!』を上演予定。 君との距離は100億光年』を上演。 2006年junonスーパーボーイコンテストで史上最年少準グランプリを獲得し、ドラマ『わたしたちの教科書』、映画『dive!!』で俳優デビュー。その後『海賊戦隊ゴーカイジャー』や『牙狼〈garo〉~闇を照らす者~』などで見られるアクションにも定評がある。近年は舞台での活躍も増え、「ミュージカル『薄桜鬼』~藤堂平助篇~」『リチャード3世』等では座長を務めた。また企画・構成・脚本・演出を手掛ける「エン*ゲキ」シリーズを立ち上げ、『エン*ゲキ#01